固体酸触媒は石油精製や有機合成に広く応用され,環境・エネルギー問題に関連する(1) 重質炭化水素の分解,(2) バイオマス原料の化学転換,(3) 有機合成用均一系酸触媒の代替,の3分野でさらなる応用が求められています.ゼオライト,メソポーラス物質,ヘテロポリ酸,硫酸化ジルコニア,硫酸化ナノグラフェンなど新しい固体酸触媒の発見も盛んです.固体酸の触媒作用は触媒化学の基本原理の一つであるにも関わらず,活性や選択性を支配する要因は明確でないことが多く,固体酸触媒の探索と適用は合理的に行われているとは言えません.規則性多孔体,バイオマス触媒など個々の材料や応用にまたがる広い分野を貫く新しい学理の確立が求められていると考えられます.
そこで,固体酸触媒の理論・キャラクタリゼーション・応用などに関してリードしてきた日本の触媒化学者が,固体酸触媒の原理と応用に関する研究成果の集約をはかるべきと考え,固体酸触媒に関わる研究者が一堂に会し,新しい材料・解析技術・応用に関する情報を交換し,議論する場を設けることを目的とし,固体酸触媒の原理と応用に関する研究会を組織しました.
またしても答を出すのが難しそうなこの問題について,講師が題材や考え方を提供し,語り合いました.日本ベル株式会社のご協力で,同社が市販を計画中のアンモニアIRMS-TPD自動測定装置を見学しました.
主催 一般社団法人触媒学会固体酸触媒の原理と応用研究会14:30-14:35 | 開会挨拶,趣旨説明 | ||||||
14:35-15:10 | 野村淳子(東京工業大学) | ||||||
15:10-15:45 | 片田直伸(鳥取大学) | ||||||
15:45-15:55 | 休憩 | ||||||
15:55-16:30 | 仲井和之(日本ベル) | ||||||
16:30-16:45 | 総括討論
16:45-17:15 | 装置の見学
| 17:15-18:00 | 移動
| 18:00- | 懇親および討論の延長会
| |
参加者
定員に達したため,一部の方には参加をお断りしました.申し訳ありませんでした.次の機会によろしくお願いします.
本年度も熱気ある討論を行った.会場は常に満員であった.
答を出すのが難しそうなこの問題について,講師が題材や考え方を提供し語り合いました.
主催 一般社団法人触媒学会固体酸触媒の原理と応用研究会15:30 | 開会挨拶,趣旨説明 | ||
15:35-15:55 | 松橋博美(北海道教育大学) | ||
15:55-16:15 | 窪田好浩(横浜国立大学) | ||
16:15-16:35 | 野村淳子(東京工業大学) | ||
休憩 | |||
16:50-17:10 | 小倉 賢(東京大学) | ||
17:10-17:30 | 片田直伸(鳥取大学) | ||
17:30-17:50 | 宍戸哲也(京都大学) | ||
17:50-18:10 | 総括討論
18:30頃- | 懇親および討論の延長会(C棟2Fラウンジにて)
| |
触媒学会の経営合理化の趣旨を踏まえ,本研究会は当面,予算ゼロ,講演謝礼も無しで運営することにしています.このような条件でお引き受けくださった講師の皆さんに深く感謝いたします.
参加者 95名想定をはるかに越える多くの方にご参加いただきました.予約の段階で定員に達したため,一部の方には参加をお断りしました.申し訳ありませんでした.次の機会によろしくお願いします.
連絡先本年度も熱気ある討論を行った.発表された触媒はやはり複合酸化物・カーボン・ゼオライト・ヘテロポリ酸など多岐に渡り,これらを固体酸触媒の観点から横断的に議論できた.酸性質の解析など,原点に返る研究が増えたように感じられた.また特段の勧誘をしていないにも関わらず発表件数が急増したことは,本分野への関心の高さを示していると思われる.
特に勧誘はしなかったが,多くの講演が集まり,熱気ある討論を行った.発表された触媒は均一系・不均一系,また酸化物・塩化物・カーボン・ゼオライトにまたがり,有機合成的な触媒反応,炭化水素の転換反応,キャラクタリゼーション,量子化学計算など多岐に渡る課題を固体酸の触媒作用を軸に議論できた.本分野の研究会活動の必要性は示されたと考えられる.