会長からのメッセージ


  

  2008年度 触媒学会会長
  今成 真 (三菱化学株式会社 顧問)


  3月1日に平成20年度触媒学会会長に就任しました。会員の皆様とともに触媒学会を発展させて行きたいと願っておりますので宜しくお願いします。

  20世紀は科学技術が飛躍的に発展した世紀でありました。20世紀半ばの半導体の発明に伴う情報・通信技術による情報化社会化、20世紀後半には遺伝子工学の発明に伴うライフサイエンスの進歩と健康・医療分野のイノベーションが起こりました。20世紀から現在までの科学技術の進歩に果たした触媒化学の役割は大きかったと思います。例えば触媒化学に直接関係するノーベル化学賞でも1909年のオストワルド、1912年のサバティエ、1918年のハーバー、1931年のボッシュ、1963年のツィーグラーとナッタ、1975年のコーンフォース、2001年のノールズ、野依、2005年のショーヴァン、グラブス、シュロック、2007年のエルツゥルなど多数あります。科学技術分野ばかりでなく、触媒化学が社会・経済に与えた影響も大きかったと思います。特に石油化学工業や石油精製産業、医薬・農薬、ファインケミカル産業や、これらの製品として自動車産業、電気・電子産業などの発展に大きな役割を果たしてきました。
  21世紀の経済・社会に果たすべき触媒化学の役割は相変わらず小さくないと考えられます。今世紀は世界人口の更なる増加、諸外国の経済的発展とこれに伴う原油や天然ガスなどのエネルギー資源の枯渇問題の顕在化、食糧問題などが予想され、すでにこれらエネルギー資源価格の高騰が起きています。また地球温暖化等の環境問題がますます顕在化するものと予想されています。触媒化学は反応を効率的に進める鍵となる学問でもあり、省資源・省エネルギー、環境浄化が必須のこれからの社会においても触媒化学の役割は小さくないと考えられます。
  日本にとっても20世紀後半の技術導入(キャッチアップ)の時代から、現在は世界のフロントランナーたるべき時代となっています。本年、日本の触媒学会も創立50周年を迎えました。幸い日本触媒学会は世界のフロントランナーに相応しい実力を有していると考えられます。今世紀のエネルギーや環境、情報化社会化、ライフサイエンス等の課題にも触媒化学の果たせる役割は小さくありません。触媒化学で培った科学技術を上記課題に展開することも有効である場合が少なくないと考えられます。
  現状の触媒学会の課題としては触媒に関係する人材の育成も重要な課題となっています。幸い前任者のご努力により、このための資金が準備できた状態にあります。これを含め触媒学会の諸課題について着実に解決策を検討し実行して行く所存であります。
  触媒学会に関係する皆様の今後ますますのご協力をお願い申し上げるとともに、皆様のますますのご活躍を期待しています。
 


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