硫酸,塩酸,塩化アルミニウムなどの均一系酸触媒から,ゼオライト,モンモリロナイト,ヘテロポリ酸などの回収・再使用可能な不均一系触媒を用いるプロセスへの置き換えが行われています(図5).その代表例として,気相ベックマン転位が挙げられます.ε-カプロラクタムの製造は発煙硫酸を副原料としたシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応により合成されてきましたが,硫酸アンモニウムの副生などが深刻な問題となっていました.高シリカMFI型ゼオライト触媒を流通系反応装置に充填し,そこへシクロヘキサノンオキシムを通すだけで,ε-カプロラクタムが得られます(図6).従来法のように,余分な副生物はいっさいありません.この気相ベックマン法は,世界に先駆けて日本で2003年から年産6万トン規模で工業化されています.
![]() 図5. ゼオライト(結晶性アルミノケイ酸塩),モンモリロナイト,ヘテロポリ酸. |
![]() 図6. シクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応. |
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